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2007年08月08日

ディアス 対 モラレス

表記タイトル戦を見に行きました。

なかなか面白かった。やはり軽量級は見てて面白い。
攻めたディアスが勝利した。モラレスはリーチで圧倒的に有利なはずなのに、距離を保てず、有効打が少なかったと思う。

さすがに世界戦ともなると面白いと思ったのは。。。アナウンサー。あの、TVでよく見る人だった。白いスーツで。毎回TVで見るたびに、この人一回いくら稼ぐかなぁと考えてしまう。いわば世界タイトルマッチ専門のリングアナウンサー。
リングアナウンサーの条件として、英語とスペイン語は必須である。なぜなら中軽量級はみんなヒスパニックか類似品だから。デラホーヤはアメリカ人でもメキシコ系、メイウェザーだって、黒人だけどメキシコ系でしょ?まして軽量級なら、もうメキシコ人対メキシコ系アメリカ人と言えば全部説明がつくくらい。。。
フィリピンもヒスパニックかアメリカ系が多いしね。
この日のファイナルも、メキシコ国籍とアメリカ国籍のメキシコ人の戦いだった。

そして、もちろん、トーク。
やっぱり、面白いよね。
115対115、117対113、114対116、とか二ヶ国語で言ったあとに、by the way of majority decision........"NEW" chanpion of the world, か ”STILL” champion of the worldって言うかで、どっちが勝ったかわかるわけですが、このへんの言い回しやタイミングで、やっぱり盛り上がりますよね?

ところで、これと同じ効果を日本語で出すために、"新"チャンピョン っていいますけど、防衛が成功したときは何ていっているんですか?

今回発見したこと

両者とも実質メキシコ人で応援団も多い。でも・・・・・・
打っている限りは応援してもらえるが、にらみ合いや駆け引きだとブーイング、そして、打たれている時は誰も応援してくれない。

日本人の感覚だと、優勢でも劣勢でも自分のついた側を応援しなきゃ、困ったときほど励まさなきゃとか思いますよね?アメリカじゃ勝っている限り味方は多いが、押されていたら誰も応援してくれないんですね・・・・

2006年03月18日

フック

フックは鉤、キャプテン・フックのフックだ。
腕が鉤状になることから名づけられたと思うが、現在においては鉤状じゃない腕で打つことも多い。
しいて定義を作るとしたら、横方向から打つパンチで、体の軸回転を主たる動力源にして、腕の筋肉を調整以外に使わないパンチってことだろうか?
ストレートにおいては体の回転にくわえて、上腕三頭筋による腕の伸展も攻撃力に使われるが、フックにおいては腕の筋肉はコントロールして命中させるためだけにあり、破壊力には関係ない。ところが、これが難しくて、どうしてもよけいな力が入ってしまう。そうすると軌道変更はできないし、速度は落ちるし、思いパンチにはなるかもしれないが、あまり当たらない。

先生は基本は前腕が水平になるフックと言っていたが、これは上体が垂直として上体回転を原動力とした場合に前腕水平だと腕の保持に最も力がかからないから、その通りだと思う。できれば前腕水平でかつ上腕の力を抜けるとベスト。

前述の通り、フックの攻撃は上体の回転が全て。一番簡単に説明すると、脱力して立った状態で、腕はだらーと下げているとして、肩で風を切る。この状態の動きがフックのパンチ力の源になる。そのため、左フックを打つとしたら、肩を左に回せるだけ回す(前後をx、左右をy、背骨をz軸とするとz軸中心の回転)、そこから右に反転するときに左肩が最大加速をする。肩だけではパンチにならないので、次に腕の動きを確認する。脱力した直立をして、次に腕をちょうど肘掛け椅子に腰掛けた時くらいの位置にする。上腕はだいたい体側から45度前後、前腕はx軸に平行の状態。腕は最小限その位置を保持するくらいの力だけにしておく。そうして、先ほどの肩回転をすると、上腕には質量があるので、肩の回転から少し遅れて動く。これがフックの極意である。(実際にはほどほどに力は入れるけれど、カチカチにいれるのではなく、ここでやったみたいに肩を動かしたら腕が勝手についてきたという雰囲気を残せることが大事。)

さらにもう一つ。肩を回転するときに左フックを打つという動作は左肩を前に出すことなのだが、実際には人間には左肩を前に出す強い筋肉は無い。左肩を前に出す動きは実は右肩を後ろに引く動きの副産物なのだ。幸い我々は何年も何十年も自分の体と付き合っているので、左肩を前に出すと思うだけで、意識しなくても右肩を後ろに引いているのだが、筋肉を鍛える時や、より速い、より良い動きを目指すときは、運動の本質も追及したほうがいい。というわけで、左フックに必要なのは右肩を後ろに引く背筋になる。なぜ、ボクサーは体の前面には筋肉がなく、背面にあるのかはこれでわかったと思う。

次に先ほどの脱力パンチについて補足。脱力パンチができるようになると、フックを打った時に背中に波が起きるらしい。先生もコーチもこれができないとダメ!とか女性は出来ないんだよね、とか言うばかりで、どうやったらできるか?は教えてくれなかったが、背中でパンチを打てることと脱力ができると波ができる。僕も脱力が苦手で、フックはガチガチの上腕前腕で打っていた。背筋は子供の時から厳しく姿勢をしつけられたお陰で優秀なので、ガチガチの腕でフックを打つと重さと破壊力はある。イメージとしては岩でできた怪力男のパンチである。しかし、射程距離は短くなるし、遅いから当たらない。脱力系に変身するのは難しいのだが、イメージの作り方はだいぶわかってきた。僕の頭の中でのイメージはこんな感じ。
前腕は割り箸として、水面に浮いている。割り箸の後ろ端に紐がついているとして、その紐が上腕。紐のついている場所がヒジである。紐を引っ張って割り箸を動かしたとしよう。(紐は後ろ端についているが、前に引っ張って割り箸を前に進める) 紐は柔らかいけど引っ張られる分には力を伝える。完全に割り箸と同じ向きに引っ張るわけではないから、多少の回転モーメントが発生するが、割り箸は水面に浮いているから向きを変えるには抵抗があり、大まかには割り箸の向いている方向に進む。(紐を引く方向がそんなに割り箸の向きと変わらない場合として)フックのイメージはこんな感じ。じゃあ、イメージを現実に戻すには何が大事なのか?上腕が柔らかいこと、つまり力が入っていない状態。それでも肩が回転すればひじから先を引っ張ってくることはできる。ヒジがやわらかいこと、割り箸と紐という接点を意味するものはヒジが自由に回転できる状態。前腕が大まかに標的の方向を向いておくこと、水上の割り箸と同じ程度だけの軌道修正で当てるから、上腕もヒジも脱力できる。当たる直前には握力をいれるが、基本的にはそこまで脱力。前腕の割り箸の固さは骨だけで十分。

ジャブを称するのにムチを使うことが多いが、フックにおける動きを表すなら、ビリヤードのキューや、槍投げのように固い棒を後ろから押すような動きが前腕と上腕の関係に求められる。ビリヤードにおける手首の柔らかさがフックにおけるヒジの柔らかさに相当する。この柔らかさをマスターして、背骨の回転、肩の回転をマスターすると、フックが活きる。

2006年01月25日

トレーニング再開? いえ考察開始です。 ジャブ

トレーニングとかを再開しようと思っていますが、まだ少しかかりそうなので、自分なりのボクシングとトレーニングの考察を書いて見たいと思います。

思いつきで書いていくので抜けもあるかと思いますが、ご容赦ください。
古典物理学を信仰し、ニュートンを神のようにあがめる人間が見たボクシング論です。

ジャブ:
ジャブは他のパンチと根本的に違う。おそらくジャブは唯一背骨を軸とする回転を使用しないパンチだと思う。つまり姿勢保持という意味を除けば背筋を使わない類稀なパンチ。そのため威力はとても小さいはず。
これは求められる要素が違うことにも起因している。ジャブは相手にダメージを与えるためのパンチではなく、リーディングパンチとして一連の攻撃をセットアップするため、あるいは相手の出方を探るため、はたまた相手の攻撃をしにくくするためなど、補助的な意味合いが大きい。速さ、即応性、柔軟性などの面では有利だし、カウンターも受けにくいから(比較的)考え無しに打てるパンチ。間が持たないとか、作戦が決まらないとか、相手の動きがわからないという時にも使いやすい。カウンターを受けにくいというのはまさに、このパンチの特異性をあらわしていて、背骨を使わない、体幹の質量移動を伴わないから、自分の腕が持つ以上の運動量を持たない、そのためにカウンターを受けてそれが全部跳ね返ってきても大した破壊力にならない。
では逆にジャブに求められることは、いつでも好きなときに好きなように打てること(守備にも使うとなればなおさら)、相手に読まれないで打てること(モーションが小さく速いこと)、そして好きなだけ打ち続けられること、などになると思う。北斗の拳じゃないけど、ものすごく速くたくさんジャブを打たれたらそれだけで攻めにくくなることは確実。リーチが相当違う場合を除けば、入ってくる相手にいつでもジャブを当てられるのはすごく魅力。特にボクサースタイルで半身になって打てればかなり有効な防御兵器になる。

リーディングパンチとしてのジャブ:僕がボクシングをしていて一番面白かったのは、タクティクスの部分。たとえて言うなら、将棋やチェスをしているのと同じ。(だからチェスボクシングってけっこうツボにはまっていると思う。)コンビネーションパンチは、将棋で言えば自分の得意な定跡みたいなもので、たくさん技を持っている人はいろんなシチュエーションに対応できる。逆に自分の得意技を使えるシチュエーションを作るのがリーディングパンチであるジャブの仕事でもある。典型的な例がワンツー。いきなりストレートは打ちにくいがリードパンチで相手の注意をそらし、視界をさえぎることで右が打ちやすくなる。


タクティクスとセットアップについてはまた詳しく書きたいと思いますが、これがすごく大きな部分を占めることはとても面白いと思います。絶対的に物理的な能力差がある場合を除けば、駆け引きや戦術はものすごく有効で、何百ラウンドもスパーリングしたコーチと練習していればもうだいたいお互いの手の内はわかっているだけに、ほんとにキツネとタヌキの化かし合いみたいな感じでした。幸い、僕の練習のために、彼は必ず同じパターンを複数回連続で使ってくれるので、パターン毎の対応策を毎回練習できました。しかし、殴られている最中に相手のパターンを分析して対策を考えて実行するのは、非常にデマンディングで、本当に良い頭の体操になったと思います。殴られる>悔しくて対策を考える>でも同じ攻撃が来ないと対策使えない>同じ攻撃を相手にさせるためにわざと隙を作る>でもあんまりあからさま過ぎて相手がのってこない>そのうち対策を忘れる>忘れたころに同じのをやられる とかそんな感じで、頭の中では「左フック来い来い。」とか思いながらやっていることもしばしば。でも対策考案中とか対策待機中はそっちに頭のパワーが食われて他がおろそかになったりもする。そんな時も気軽に打てるジャブは大活躍。ジャブ連発中なら頭で他の事を考えられるから。(でもほどほどにしないと、注意力散漫でやっぱり打たれる。)