ボロクソワーゲン
銀杏爆弾の話で思い出したんだけど,兄貴や姉貴たちと1回だけ銀杏を拾いに行ったことがある。記憶が定かじゃないけど,あたしと姉貴は学校が休みで,兄貴たちは学校のある日,の早朝だったと思う。なんで銀杏を拾いに行ったかは覚えてないけど,きっとかこちゃんが「楽しいからみんなで拾ってらっしゃい!」みたいに送り出したに違いない。そう考えると家の母親はのせるのが上手くて,なんか提案されると純粋にものせられて,えー楽しそう!ってことになりわくわくしながら行くことになる。
多分その日もそんなのりだったんじゃないか?兄貴たちの小学校は歩いて15分ぐらいのところにあり,早朝となると誰もいない。ビニール袋と割り箸を持っていざ出陣。出陣と言えども門は開いてないからブロック塀を越えていかなきゃならない。兄貴たちに登らせてもらって,ようやく塀の向こうへ。着地した瞬間からくっさいのなんのって。鼻曲がる。でもすごい並木があるからたちまち袋は一杯になる。とっていいんだか悪いんだか,多少の後ろめたさがあるから,誰かがきそうな気配がするとみんなでどきどきしながら拾っていた。
まぁかなりの量を拾って,いざ帰ろうかというときに,学校の先生だか守衛さんだか,とにかく誰か分からないけど来たらしい。あたし以外は逃げ足が速いし身長もあるからさっさと走ってにげていき,学校のブロック塀もするすると登って向こうの道路に飛び降りた。みそっかすだったので,逃げはしたけど塀が登れない。状況がわかんないけど逃げなきゃやばい,ってことだけ頭にあるからブロック塀の隙間から見える兄や姉を見て,焦った。どうしよう。
そのときに,目の前に色あせた車があった。まさか車によじ登って塀に移るなんてことをその直前まで思いつかなかったから,壊れちゃったらどうしよう,見つかったら絶対怒られる!とか思いながら,それでも背に腹は変えられないので,ずっくでボンネットによじ登り,壁に何とかよじ登り,向こうの道路へとび降りた。もう,半べそでしたね。生きた心地もしなかった。大げさな(笑
やっと落ち着いてきたときに,としくんが,どうやって壁登ったの?ってきくもんで,答えたのが,
「そこに水色のボロクソワーゲンがあったから,それに登って壁登った。」
そしたら兄貴や姉貴はなぜか大爆笑。怖かったし理由もわかんないから,頭の中?だらけなんだけど,なんで?ってきいたら,ボロクソワーゲンじゃなくてフォルクスワーゲンだったのね。ぜったいボロクソワーゲンだと思ってた。あまりにインパクトが強くて,それからしばらく忘れなかったね。ビートルはいまだにあんまり好きじゃないけど,後々自分がフォルクスワーゲンに乗ることになるとは,そのときは思いもしませんでした。あたりまえか。
で,銀杏を大量に持って帰ったら,おばあちゃんがそれに触ってかぶれるし,匂いはすごいし,多分かこちゃんは怒られたりしてたはず。かわいそうに。でも楽しかった。かこちゃんの思いつきで面白かったことは他にもある。おじいちゃんが釣りにはまってたから,どうしても真似がしたくてかこちゃんに相談したら「池の鯉を釣ればいい」という。今もあるのかどうかわからないけど,鯉の餌に「スイミー」っていうのがあって,スイミーを荷紐で結んで棒の先にくっつけて釣ることを思いついてくれた。ちょーーーーーー楽しかった。だって釣れちゃったんだもん。鯉が。
で,珍しくその日早く帰ってきた父親に「聞いて聞いて!!!池の鯉で釣りをしたよ!」って言ったら,優しく笑って話を聞いてくれると期待していたのが,みるみる顔色が青くなる。「げ,やばい」と思ったら「お父さんの大切な鯉で釣りをするなどもってのほか!」だそうな。「で,でもかかったけどちゃんと放しといたよ」とか火に油のフォローを入れてみたりした。かこちゃんはその後とっても怒られたそうで。あはは。