This is Swing!
というようなショウでした。フレディー・コール@コットンクラブ。日本ではあまりお目にかからない感じのライブだったけれど,おそらくアメリカではこういう決めもフレーズも作りこまれたショウというのはよくあるのかもしれない。
コットンクラブは初めて足を運びましたが,同じ系列のブルーノートとはまた一味違ったよさがある。一人で行ったせいもあり,するりと前から2番目の席でかぶりつき。箱自体の大きさもあるのだとおもいますが,ステージがより近い感じがしました。フロア席を取り囲むようにボックス席があり,その一段上にまたボックス席。比較的すべての席からステージをちゃんと見れるようになっている配置。席によって価格帯が違って,くつろいで聞きたければボックス席がいいかも。かぶりつきで見たい私は迷わずフロアシートだったけれど。
フレディー・コールは私の大好きなグルーバー・ワシントンJr.のアルバムでその声を聞いて以来いつか生でライブを聞きたいと思っていた歌手。本人のアルバムもすごく素敵です。まぁ兄がちょー有名なナットキング・コールであるため,ずいぶん比べられたりしたみたいだけれど。うまく説明できないのですが,お兄さんと違う色気というか意味合い的なブルース色があって,私はその部分が大好きなのです。
ライブは・・・感激しましたね。グルーヴ感,声の出し方,バンドとのやりとり。無理が全く無い。声を力を入れて張り上げることも無ければ,あやふやさもない。トラブルも無く,選曲も4ビート,バラード,ラテン,などちゃんとちりばめてあり,1曲の中でも余分にアレンジで付け足したところもちゃんと決め込まれているわけですよ。
アクシデントといえばアンコールのI'll be seeing you.をバラードでうたっているときにドラムの人のハイハットが90度回転して縦になっちゃって叩けなかったことぐらいで,それもバンドのみんなが笑いとばし,挙句の果てにはフレディーが〆に入りそうなタイミングでドラムの人がハイハットをつけなおし,「1,2,3,4!」とカウントを出してミディアムでノリノリになり,最後はちゃんとまたバラードに戻る,といった,それも仕組まれたショウの一部のようでした。
日本ではジャズはその場で出会った人たち同士が決め事もその場で説明し,1,2の3でやるもんだ,みたいな風潮があるけれど,ショウとして見せるジャズはそれではできないなぁと思いました。リハで決め込んで「いかにかっこよく」ステージングするか。あたしはこういうのが好きだなぁ・・・。
ステージの上の年齢層も高く,フレディー自身は77歳。声の渋さといい,がっちりした体躯といい,色気といい,申し分ない。日本のジャズボーカルの中で男女を問わずこんな素敵な人はいるんだろうか?あと,感じたことは弾き語りであるせいか,間の取り方が私の大好きなシャーリー・ホーンと似ている気がした。声の出し方も似てるし,彼女同様彼のピアノも素晴らしいのです。
まだしばらくステージはあるようです。オススメ。