« June 2007 | メイン | August 2007 »

July 2007 アーカイブ

July 1, 2007

だしの味

 父方の祖父母の出身は山形県である。母方は新潟だけど。さて,父方の祖父母と10歳ごろまで一緒に暮らしていたので,ウチは8人の大家族であった。山形には私は行ったことがないのだけれど,(あれ?蔵王って山形?だとしたらあるぞ。)山形の食べ物が食卓に上ることがあったので,時々無性に食べたくなる。
 いい時期になったからナスとオクラが収穫できるようになった。といっても毎朝ごろごろと言うわけに行かないので時々採れるていどだけど。でも,茄子とオクラとくれば,私の中では「だし」なのだ。だしは,野菜をとにかく細かく刻んであえたもの,というイメージがあったのだけれど,細かい作り方はわからじ。調べてみると塩水に晒すとか醤油と酒と鰹節をかけまわすとかあれこれあるらしい。昆布入れるとかね。インターネットはこういうとき便利だ。あとで作ってみよう。すごく簡単な食べ物で,かつ,思い出的にも美味である。美味しい豆腐を手に入れたので,これにかけて食べたら最高だろうなぁ・・・。
 他にも山形の味というのがあって,くじらもち,のし梅,くるみゆべし。ばんぎく(漢字がわからぬ),あと,なんか名前忘れたけれど練り物になっている納豆。これなんて名前だったのかなぁ・・・。加工食品だけじゃなくて,さくらんぼ,ラフランスもあるね。こういう,郷土の食べ物は,実に興味深い。あれ,もしかして,私のような人のために郷土物産展とかあるのかも。そうか。

マンガ考

 どこで目にしたんだか忘れたが,蟲師という映画があるらしい。江角さんとか蒼井なんちゃらさんとか,オダジョー?だったっけ?が出ていたりするらしいが,この作品はアキラの大友監督の作品らしいから,面白そうだと思っていたら,原作はもちろん漫画。人や普段目にする動植物とはちょっと違った命のあり方と,それと人とのかかわり,みたいなものを書いた作品らしい。なんだかちょっともののけ姫っぽいはなしではある。
 となると,ウチの兄貴様に問い合わせねば。メールを送った。「蟲師持ってる?」しばらく返事が無いもんで,なんだ,持ってないのかと思っていたら,実家であったときに「ねぇ,君,蟲師持ってる?ってメールしてきた?」だと。なんだよ,妹からのメールもわからなくなったのかこの阿呆め,と毒づいてみたら,どうやら私はへんな形式のメールを送りつけていたらしい。ごめんごめん。
 「そうそう,あれ送ったのあたし。持ってる?」と問うと「うん。でもあれまだ終わってる話じゃないよ。まぁ,もとい続き物じゃないですけど」と言われた。さすが兄貴。持つべきものは漫画好きの兄貴,って,ちょっと違うか(笑
 家に遊びに来いと,散々言って置いたので,この間遊びに来てくれた。そのときに私自身は忘れかけていたけれど蟲師を持ってきてくれた。漫画は基本的に斜め読みで速読をきめこんでいるのだが,珍しく,漫画を2度読みした。面白い話だなぁと思った。
 蟲師 (1) アフタヌーンKC (255)
蟲師 (1) アフタヌーンKC (255)
 ちょっとしんみりする。心に沁みる話である。そう,昔の家の梁はこんなだったのだろう,とか窓から眺める山の景色はこんなイメージだとか,なんだか懐かしさに満ちている。それは,私の中では,岩井志麻子の作品を読んでいるときに感じるなんだか懐かしい古めかしさに似ている。
 昔は,全部が全部そうだったわけじゃないけれど,読むに値するもの,というカテゴリーに属する漫画は少なかった気がする。誰が「読むに値する」と決めるのかという疑問は残るにしても,まぁ大抵は親だろうが,視覚的に訴える,ゴリゴリと考えずにも頭に入ってきて問題提起するような作品は,小説よりもある意味チカラがある気がする。文字だから何でも思考の助けになるかと言うとそうでもなくて,小説にも今様なものは意味が無い,と捉える向きもあるそうだが,全てが全て純文学で成り立つわけでも無かろうに。
 話が逸れた。なんだっけ?ああ,蟲師が面白いという話だ。こんな世界もあってよい。

July 3, 2007

杏の香り

 電車や車で移動していると,四季の香りを忘れてしまう。やはり季節を感じるには,徒歩でないと駄目だ。最近家の周りを歩いてうろうろすることが多く,今まで気がつかなかった自然に目が行くことが多い。
 先日歩いていたら,車どおりの多い道の端にガクアジサイが咲いていた。普通のアジサイとは少し違ったこの花が,私はとても好きだ。「ほぅ」と思いながら歩いていると,どくだみが密生して花を付けていた。なんともいえない草いきれが,実際香ってもいないのにイメージされる。「へぇ」と思ってみていると,その辺りの草花の茎に泡状のものが見えた。これは懐かしい。泡の中に虫が住んでいるのだ。私が生まれた横須賀では,この虫が庭に沢山いた。へぇ,都内もまだまだこんな身近に懐かしい自然があるんだなぁ。
 今朝も歩いていたら,公園の傍に差し掛かった辺りでものすごく懐かしい香りがした。杏の香りだ。あれ,杏があるのかな?と思ってきょろきょろしたけれど,見つけられなかった。そういえばこの辺りで,梔子の香りもしたことがあるな。
 私が生まれた横須賀の家の庭には,我々孫が生まれたときの記念にと祖父母が植えた木があった。姉はカイドウ,上の兄はタイサンボク,下の兄はアンズ。私は・・・木ではなくて,フリージアの鉢植えだった(笑)そういった記念樹だけでなく,枇杷,柿,桃,栗,竜舌蘭,バラ,梔子,牡丹,ケヤキ,クヌギ,ヒイラギ,椿・・・沢山の木が生えていた。フキノトウが生えてきたり,アケビや木苺がなったりした。
 あの木々はどうなったんだろう。祖母が亡くなって,家も亡くなった。私はあの庭で四季を感じて生きていたのだ。そんなことすら忘れていた。地蜘蛛の巣を掘り返したり,ざくろの実を採って食べたり。庭石をひっくり返して蟻の巣を観察したり,時にはカナヘビの卵を見つけて孵化させたりした。あの朽ち果てた木の門から外に出ることが恐ろしく,一人ではどこにも行けないと思っていたのに。今はかの地に似た,高台で風に吹かれている。

July 10, 2007

え?本当に生きてるの?

 酒屋バーで小美濃さんとマスターと話しをしていた。真弓さんが「ねぇ,めぐ占ってあげるよ」といきなり言い出して,紙とペンを取り出した。生年月日を聞かれた。「ふーん」とかいいながらなにやらわけのわからない記号のようなものを書いていたと思うと,いきなり「え?めぐ,生きてるの?」とくる。
 何だよ・・・めのまえにいるじゃんか,と思っていると「めぐは,本当は生きてないみたいよ」という。頼んでない占いを勝手に始めて「生きてない」はないだろう??と思っていると「なんかね,ほんとは生まれてすぐに死んじゃってるみたい」おいおい・・・。
 センセーショナルなお告げから始まるわけですが,真弓さんいわく,今年はいいそうです。4年後はもっといいんだって。でも,いいというのと悪いというのは表裏で,自分を軸にしてパタパタと裏っ返ったりもどったりしているそうな。だから,いい,とはいえ,自分しだいでは良くも悪くもなるんだそうな。
 で,マスターと真弓さん二人で,めぐにはこういう人がいい!とまたまた勝手に議論を進めていて,話半分で聞きながら「肩が痛いなぁ」といったら二人で口を揃えて「風邪だよ」という。白熱した議論を交わしていたのに,私のボヤキが聞こえるとは(笑)で,きわめつけ。視覚障害者の人にすごくよく会う,というと,「それはあなたがミテナイ人だからだ」そうで。
 どうとでもいえるだろうなぁ。本当を見極めている人なんて一握りだぜ,と思いながら,帰っていると,方だけじゃなくて背中全体が痛くなってきた。風邪だよ,というのはアタリらしい。それにしても,言われたことを考えていたら,何一つ的を得たことを言ってないじゃないか・・・いいとも言えるし,悪いとも言える。全ては自分次第って。理路整然と考え始めると占いってのは実にいんちき臭いんだけど,なぜか「ふーん,そうか」などと納得したり「あなたはこうよ!」といわれて妙に心が落ち着いたりする作用はあるね。まぁ,ちょっとここにはかけない(笑)あんなことやこんなことについても言及されていて,それは思い当たる節があったから,あながち役に立たないというわけでもないみたいで。
 そんな小美濃さんに占いをして欲しい方はどうぞ酒屋バーへ。私の知り合いだと言うとワインが3000円で飲み放題です。

July 11, 2007

ゆるくやりますが,お願いが・・・

 13日のライブ,菊田ファンが20時以降じゃないとこれないそうなので,いつもよりも30分遅い20時からのスタートです。ゆるいライブです。なんとなく,いろんな人に会えそうな予感がするので,わくわくしてます。
 えーと,お願いと言うのは・・・ライブのときはいつもかなり呆けている方ですが,昨今開きすぎで魂抜けているので,見かけたらかならず声をかけてください(笑)その一言がパワーになります。へへへ。
 どんなライブになるかなぁ。UKサウンドが好きな人は結構楽しめるかなと思います。あとは,ギターエフェクトマニアな方は楽しめるかなと思います。打ち込みに興味がある方は参考になるか,ノックダウンされるかもしれません。古いサウンドがお好みの方は,あまりの斬新さにのけぞらないでください。後は・・・イケメン好きな方はよだれを拭くためのタオルを用意。強烈なサックスのソロを聞きたい方はかぶりつきでどうぞ。もとい,食べたり飲んだりしてわいわい楽しんでください。
 では,皆様のお越しをお待ち申し上げております。

◆2007年7月13日(Fri) @Akagi Cafe 20:00~ MC\1,000

『TANE たね』発売記念ライブ

4月に発売したミニアルバム『TANE たね』のサウンドを体感してください。
製作秘話なども聞けますよ!

会場 : Akagi Cafe@神楽坂(03-3266-7707)
時間 : 20:00~
出演 : 藤野めぐみ/菊田冬彦
※ ミュージックチャージ 1,000円

July 12, 2007

太陽を食べる

 今年初めてのトマトの収穫。なんだかめっきりアグリカルチュアルな人間になっている。赤くならないなぁと思っていたら,いきなり色づき始め,今朝見たときはもう結構いい色だった。もう少しかなぁと思って,夕方帰宅したときにみたら,スーパーで売っているのと同じぐらいの色になっていた。
 私の中ではトマトを食べるのは,太陽を食べるのと似ている。もとい,自分で手をかけて?育てた野菜はみんな太陽を食べてるみたいなんだけど。この前わたしがアグリカルチュアルな人になったのはかれこれ10年以上は前だ。そのとき育てたピーマンの美味しさにびっくりして以来,ピーマンが好物になった。それまであまり好きでも嫌いでもなかった気がする。
 トマトは難しそうだったのでうまく育つかなぁと心配していた。しかも前書いたようにミニトマトだと思って買ったのが実は普通の中玉のトマトの苗だったらしいので,余計大丈夫かなぁ?と思っていたのだが。無事収穫。
070712_1913~0001.jpg

 トマトが取れた,と母に電話をしたら「可愛くて食べられないでしょ」と言っていた。わからないでもないが,食べた。すごく控えめに言っても,果肉は柔らかく,美味しかった。野菜などを育てて食べるって,人が農耕民族になってから脈々と続いている大地とのつながりなので,そういう意味合いにおいてもなんだか感激する。収穫後にはお礼の追肥をするんだって。なんか,ささやかだけど,大地とつながっている記憶をなぞっているようで楽しい。

久しぶりに

 DVDを借りてみた。ジョニーデップが見たくなったのでパイレーツオブカリビアン借りた。2作目を見てなかったから2作目を見た。3作目が出てから見ればよかったと思った。相変わらず間抜けなジョニーデップは素敵で愛すべき?憎めない?キャラクターだった。
 あとは,ドリームガールズを見た。公開中の評判ほど入り込んでこなかったなぁ・・・。先日見たニューオーリンズという古い映画のほうがなんだかぐっと来た。でも,エフィ役の女優さんの歌唱力と口の大きさにはすごく感動した。ビヨンセは顔が小さいなぁと思ってみてた。最後の方でやっぱりビヨンセもソウルフルにパワフルに歌っていたので,ふーん,前半の歌い方は演技かなぁと思った。映画としてはハートに入ってこなかったのでなんとも言えないんだけど,ショービズの世界って,大変なんだろうなぁと思った。
 映画としてはさらりと見れちゃうのだけれど,もとい,私はこういう映画に,さほど興味が無いんだなと言うことはわかったのだけれど,歌手としての登場人物たちを眺めるとみんなすごくいい歌歌ってる。世の中にはパワフルで,ソウルフルな歌を歌える人が沢山いるなぁと思った。伝え方はそれぞれで,どんな歌い方がぐっと来るかは人それぞれの嗜好によるのだろうけれど。私はエフィみたいな歌を聞くのがすきですが,あれを一日中聞かされたら疲れるかなと思う。
 

July 13, 2007

13日の金曜日!

 『TANE たね』発売記念ライブでした。何かが起こる!!!って,なんとまぁライブに来てくださった方に弾き語りを披露してしまいました・・・。遠くから,近くからお越しいただいた全ての皆様に,深くお礼申し上げます。久しぶりの面々にも会えて,なんだかすごくパワーをもらいました。久しぶりの夜遊びなの,と可愛い妊婦姿を見せてくれた友人も,それに付き添うようにきてくれた久しぶりの友人も,かつてのボーカルクラスの同窓生も,高校時代からの親友も。わが愛すべき兄貴分も。HPのお知らせから駆けつけてくれた友人も。通りすがりで来てくださった美人さんたちも。もちろん菊田ファンも。本当に有難うございました。
 MCで少し言いましたが,実は肩の痛みはひどくて,今朝は腕が動かせないぐらいでした。1週間前に急遽決まった弾き語りも辞めるわけにいかず。参ったなぁと思っていたら,今朝の練習室の隣の人はクラシックバイオリンの人で,その音色に癒されて,頑張ろうと思った次第です。
 録音するのも忘れ,めがねをかけるのも忘れ,げ,譜面が読めん,と思いながらピアノを弾いていたのだけれど・・・。皆さんからの愛情とかパワーとか,そういったものを今日はすごく感じました。なんだろう?必死だったからかな?自分の進みたい方向が,さらに明確になった夜でした。アレンジャーの菊田君のことも無事ロンドンに送り出せそうで,ひとえに応援してくださった皆様のおかげです。

サマータイム
テネシーワルツ
ジーベイビーエイントアイグッドトゥユー
星に願いを

スマイル
ガールトーク
愛のため息
フライミートゥーザムーン
酒とバラの日々

マイウェイ(菊田オリジナル)

ラビンユー

という内容でしたが,思いのほか最後のアンコールでやった弾き語りのラビンユーを知っている方がいらっしゃって,嬉しかったです。渡辺美里さんがジャニスジョプリンのことを考えて作ったという曲です。結構わたしのルーツな曲です。
 ああ,今日はなんだか,心地よい疲れです。みんなに支えられてるなぁと,感謝の気持ちが滲み出てきています。ありがとうございます。みんなが幸せでありますように。おやすみなさい。愛をこめて。

July 15, 2007

かーさんしんぱい

 今日は台風が来るんだ。そう思いながら昨日夜遅くまでDVDを見ていた。

ラウンド・ミッドナイト
ラウンド・ミッドナイト

 耳にして,なんて素敵な曲なんだろうと思う曲のいくつかが,この映画の曲だと知ったから,いつか見ようと思っていた。見ていて,なんだか苦しくなった。それでも,chan's songはあまりに美しく,ハンコックは天才だと再確認した。
 人が好むと好まざるとにかかわらず,人が受け入れてくれるかどうかにもかかわらず,自分はこういうものがすきなのだ,と表現するしかない不器用な私は,そして,かつ表現方法の手管すら,不器用極まりないのだけれど,踏み出した足を引っ込めることは考えたことが無いなと思った。
 やめる理由をつけることはいくらでも出来て,逃げる方向へ情熱を注ぐことも簡単なのだけれど,えりすぐりの厄介な道というのを選ぶ本能があるらしい。私のことをあれこれ人は言うだろう。それでも,へこたれつつも牛歩で進む我をよしと出来る気持ちさえあれば,着実に進んでいける。これは,でも,私に限ったことではない。
 見ている間に疲れてきて,もう見ているのをやめようかなと思ったら,映画は終わった。建て付けの悪い窓ガラスががたがた鳴っていた。そうだ。嵐が来るんだ。小さいころはこの隙間風の音が狼の声のようで,とりわけ冬は嫌いだった。大人になってしまえば割り切ることがなんとなく出来るようになる。このまま眠りに就いたら,朝はすごい暴風雨なんだろうか。そんなことを考えていたら,メールの着信音がする。朦朧としながら返事を書いたようだ。
 目が醒めたら,朝の5時だった。思いのほか外は明るい気配で,でも,まだ布団から出たくなくて2度寝しようとこころみたけれど,ぶつぶつと途切れ途切れに目が醒めたのであきらめて布団から出ることにした。
 鳥が啼いている。台風は去ったのかな?それとも目の中なのかな?まさか。そんなに早くは進むまい。ベランダの窓を開けると,細かい,それでいてスピードのある雨がいい角度で降っている。ああ,これから来るのかな。バルコニーへ出て他の植物を見て回る。少し寒かった。トマトの葉が少し調子が悪い。それ以外はまだ何も起こっていない。
 今日は台風だけじゃない,エレピが来る日だ。今使っているカシオトーンの脚をはずして分解しながら,ケビンマホガニーを聞いていた。なんだか切なくなってしまった。でも,このカシオトーンも貰い受けてくれる次の使い手が見つかりそうなので,よかった。有難うカシオトーン。君の事は忘れない。ケビンの歌っている曲の譜面をおこしていたら,荷物が届いた。大きな荷物を二つ運び入れた。さくさくと組み立てをしながら,いや,待てよ,今回ばかりは組立図を見たほうがいいんじゃないだろうか?だって,ほら,新しい人生の始まりなんだし。なんて。大げさな(笑
 でもね,結果的には「中途半端に見るなら見ないほうがまし」だったわけだ。中途半端に読んだからなんだか設置したらがたがたする。おかしいな。今度は直感で組み立てなおす。いい感じ。微塵もぶれはなし。
 少し触って遊んでいたら風の音が強い。植物が心配になってまた見回ってみたり。今日はこんな感じで「かーさんしんぱい」で外に出られません。 
 
 

July 16, 2007

夕暮れと朝の空

 雨が上がって,まだ風が強い夕暮れ。さっきまで人通りのなかった道に,なんとなく活気が戻っている。人の笑い声や自転車のベル,子供たちをたしなめる母親の声。夏の夕暮れだな,と思う。鉢植えたちは無事にやり過ごしたかな,と思っていたら「ゴツ」と鈍い音がする。なんだろう?と思って玄関を出てみると,アメリカンブルーの鉢が落ちていた。風,強かったしな。台に置いている鉢植えを全部地面に移した。風であおられて割れちゃ困る。
 ベランダの窓を開けてしばらく外を見ていた。空はどんよりと曇り空。明日は晴れるんだな,と思った。届いたピアノでDon't let me be lonely tonightを弾いてみた。うまくないが,悪くない。ささやかな自画自賛。人の心に深くもぐりこむ曲と言うのが確かにあって,ある人にとってはそれはJ-popかもしれないし,Soulかもしれないし,R&Bかもしれない。まぁ,そういった場合カテゴライズになんら意味があるのかなと思うけれど。
 友人のオノセイゲンがあるときこんなことを言っていた。歌詞なんか全然知らなくたって,歌そのものをしらなくたって,本当にいい曲は心に沁みるんだよ,って。その通り。それは,風が描き出す雲の模様に感激したり,挽き立てのコーヒーの香りに癒されたり,そんなことと同義だ。とても直感的なことだ。
 しばらく譜面を書いたり,マイルスの伝記を読んだりして時間を過ごしていた。このマイルスの伝記というのが実に厚くて重い本で,最近の首と肩の痛みは,この本を熱中して読むからだと思っているんだけれど,案の定首も肩も悲鳴を上げ始めたので読むのをやめた。
 もうこうなってしまうと横になるしかないので寝ながらあれこれ考えていた。風は相変わらず強くて,びゅーびゅーと鳴っていた。そうこうしているうちに,どうやら寝てしまっていたらしい。でも,肩が痛いなぁ,これ治らないかな,と思ってマッサージを試みてみたり,あの譜面は,あの曲の最初は,とものすごく沢山のことを考えていたことを覚えているのであまり深く眠っていなかったのだろう。目を開けると,いろんな光の模様が,カーテンの隙間から床や天井に映し出されている。朝だ。
 しばらくぼーっとしていて,光の勢いが強くなるのを眺めていた。きっといい天気なんだ。起きない手は無いな。でも,少しも体が休まった気がしない。時計を見ると4時半。ああ,段々最近目覚めが早くなっている。確実に夏が近づいている証拠だ。
 おきてカーテンをあけ,ベランダの窓を開ける。まるでドラクロアみたいな空。あー,綺麗だ。この間まで小休止していた花々もみんないっせいに花を開き始めて,ほぼ根元まで刈り取ったイタリアンパセリも新しい芽を吹き始めている。ああ,外の見回りもしなければ,とオクラやトマトを見に行くと,トマトがほんのりと色づいていた。随分他の実も大きくなっているので,支柱を増やしてみた。他の花々も無事。よかったよかった,とクローバーとアメリカンブルーを台の上に戻して洗濯に取り掛かった。
 大量の洗濯物を洗って干して,一息ついてコーヒーを淹れて,掃除をしてごみを出して・・・と,ゴツ,と鈍いいやな音がした。玄関を開けると・・・アメリカンブルーとクローバーが風にあおられて落ちていた。しかも,鉢が割れてしまった。浅はかだったな,と反省しつつ植え替えた。そんな一日が始まる,台風一過。

July 19, 2007

至福

 みんな,どんなときに「幸せだ」と感じるのだろうか。あたしは単純なので案外たやすく「幸せだぁ」と思うのだけれど。たとえば,ふかふかの布団にもぐりこんだときとか,おいしいお酒を飲んだときとか,夕焼けや朝焼けの中で車を運転しているときとか,お肉食べたときとか。クリームブリュレが美味しかったときとか,ガーデニングしてるときとか。あと,歌歌ってるときとか,一緒にやってるミュージシャンの音色がすごいつぼな時とか。パンの焼ける臭いをかいだときとか,美味しくパスタが出来上がったときとか。
 昨日は寒くてどうも調子が出なかった。基本プリミティブなので寒いと活動が低下する。もう冬眠かよ,と突っ込みながら,それでもぶらぶらと散歩に出かけピアノの練習をしていた。帰り道,スーパーに寄って果物を買って家に帰ってきた。しばらくすると買ったCDが家に届き,ばりばりと包みを開けてCDを聞き始めた。とそのとき,ラジオのアンテナの存在をいきなり思い出した。ぱちり。
 先日頼んでいたラジオのアンテナが届いていて,それをとりに行ったのを忘れていた(笑)そもそもラジオのアンテナを買いに行ったのは,うちにあるミニコンポでラジオを聴きたくなったから。某ローカルなFM局は深夜にずっとジャズを流しているらしい。うちのあたりまではぎりぎり聞こえるらしい。ならば!高台の地の利を生かしてだね,やっぱり聞かずにはおれまい!
 いてもたってもいられず,アンテナをセッティングする。もう,アンテナをセッティングしたところでいかした音が流れてくるじゃないですか。ああああああ,至福。ラジオからの音色と言うのはまた違った思い入れがあって,それはそれで,ノスタルジックでよい。結局つけたままで寝ちゃって,明け方人の声が放送に入り始めて起こされた。
 へへ,単純だぁね。幸せだ。今日も良い一日になりますように。

July 23, 2007

本日のライブは翌週に延期になりました

 昨日の金のつぼのライブにお越しいただいた皆様,またセッションに参加してくださった皆様,有難うございました。焼鳥もお酒も堪能なさっていただけましたでしょうか?
 さて,本日の赤坂酒屋バーでのライブ,お店の都合により翌週へ延期になりました。30日はベースの幡野謙二さんもご一緒です。お楽しみに!

新しいデビッド・リンチの作品

 前作がマルホランドドライブだから,何年ぶりなんだろう?私の大好きなリンチの新しい作品Inland Empireが劇場公開になっている。観に行きたい。が,都内だと2箇所でしかやってないのだなぁ。この作品の最後にはゆうきなえさんも大切な役で出ているらしい。しばらく姿を見ないなと思っていたけれど,粛々と演技を続けていたのだなぁ。継続はチカラ。

July 24, 2007

野に還る獣

 それにしても今日は素晴らしい天気であった。昨日までのもやもや感が過ぎ去っていた。単純ですがな。朝早くから起きて洗濯をしたりガーデニングしたり。トマトの枝が1本実の重みで根元から折れていた。挿し木にしてみようと試みているけれど,おそらく駄目だろうなぁ・・・ショック。昨日は茄子が割れちゃってたし,長雨の後の天気は要注意だなぁ・・・。イチゴが二粒とれた。食べてみたらとても甘かった。オクラの花が咲いていた。
 さて,午後は散歩。久しぶりに芝生の上や川の傍を歩いたりして,木陰で本読んだ。横須賀の庭の臭いを思い出した。歩いているうちにどんどん手のひらが熱くなってきて,エネルギーが充満したのがわかる。結局ヒトも獣なのだなぁ。夕暮れが,美しかった。日々,こんな自然を感じられるのは,幸せだ。

July 26, 2007

汗をかく

 んー。あまり汗をかかない体質なんですが,先日からなんか何をしなくてもつーーーーっと汗をかくようになり,ほー,みんな汗をかくのがいやだといっていたのが判る気がする。
 こういう汗をかくのは子供のころに肺炎をした後以来。かといって今回肺炎になっていたわけでもなく。なぜでしょー。
 冷房が無くても生きていける人間なので,というかクーラーですぐ具合が悪くなるので,古い建物であるがゆえにクーラーなどとは縁遠い我が家でも快適に暮らせる。温暖化で気温が上がっているとはいえ,人は結構暑さに弱くなったね。
 さて,明日はAkagi Cafe@神楽坂でライブです。汗をかきかき?頑張りますので,息抜きにいらしてくださいな。お待ちしております。ピアノ田山勝美さん,ベース谷克己さん,のカツミブラザーズと一緒です。田山さんはさっき山から降りてきました,といった風情で現れて,涙が出るほどの優しい音色を弾きだします。谷さんはクラシックで鍛錬されたすばらしいアルコを披露します。でもお酒を飲んであれこれ笑いながら話しているときが,一番二人らしいかも?お二人のNY仕込のサウンドをお楽しみください。 
 
夜とあなたと音楽と Jazz

愛に満ちたJazzの音色。
ゆったりとした時間をお過ごしください。
時間 : 19:30~20:30/21:00~22:00
出演 : Vo. 藤野めぐみ / Pf. 田山勝美 / Ba. 谷 克己
※ ミュージックチャージ 1,500円
http://www.akagijinja.or.jp/cafe/

 

July 28, 2007

暑かった

 小寒いネタを取り混ぜつつ涼をお送りしようと思ったのですが,いやはや。田山勝美と谷克己のアツイサウンドにのせられてしまいました。涼しくできずにごめんなさい,この一言しか言えない(笑)楽しかったです。
 毎回聞くたびに思うけれど,田山さんのピアノは愛に満ちていて,イントロを聞くだけでうるっときます。どうしたらこんな音色を出せるのかと不思議に思うけれど,ひとえに人柄そのものに愛が溢れているからなんだろうなぁ・・・。
 谷さんは,ベイビーフェイスでにこにこしているけれど,今日も素晴らしいアルコを聴かせてくれました。ああ,そういう風に来るんだ,と内心ニヤニヤしていましたが,さすがクラシックで鍛えた技術はすごいですね。
 本日のピアノの田山さんとは8/3に銀座の銀座テイラースタジオというところで1時間ライブをやりますので,心打たれるサウンドに思わず出てしまった涙をぬぐうためのハンカチを持って,ぜひいらしてください。

---
 Ginza Tailor StudioにてPf.田山勝美さんとライブです
普段はフォーマルからカジュアルまで揃えたテーラーですが,週末はBarに。
ゆったりとした時間をお過ごしください

 入場料 : \1,000
 1ドリンク(シャンパンorワイン)+1フード付き

 〒104-0061 東京都中央区銀座5-5-16
 銀座テーラービルディング5階
 TEL : 03(3571)4131

http://www.gintei.com/studio/aboutus.html

愛の秘訣

 今日ライブの合間に田山さんとピアノの話をしていた。コードは押さえられるようになったけれど,ザッツオールでその先に進めない,という相談をしたら,鍵盤を弾くしぐさをしながら「んー,こうやって弾いたら,次はこうやって,こういうふうに,そして次はこう踊るんだよ」と。
 え?「踊る?」自分の耳を一瞬疑った。そしたらさも普通な感じで「うん,こう踊る,こう踊る,つぎはこう踊る,って踊れるかどうかなんだよ」と愛のピアニストは申すわけです。そう聞いたら,田山さんを心地よく躍らせたくなった。ついでに,私自身の踊り方を見つけたくなった。彼の愛の溢れる音色は,踊りからきてたのか。素敵だね,そんな,愛の秘訣。

July 29, 2007

雷が鳴る

 梅雨が明ける。夏が来る。つまりはそういうことだ。
 いやしまった,雨の匂いがしてたのに,洗濯してしまったら驟雨。

July 30, 2007

わらしべ長者

 トマトとオクラを持って実家に行き、タラバガニとウニと塩辛といくらとビーフンとサラダと日本酒と赤ワインと白ワインを・・・もっといろいろありましたが・・・食してきました。カニとウニと塩辛といくらは北海道にツーリングに行った兄貴のお土産でした。
 土曜日の夜に下の兄貴からメールが来て「貸していた本を持って実家に来い」と。で,この間から打ちの野菜の話をしていたのでお土産に日曜日の大雨の後にとったトマトとオクラ。ささやかだけど。実家に着いたら一番乗り。あれ?もういつものように宴会してるのでは・・・と思っていたら,かこちゃんが現れ,まーちゃんは下の店に日本酒を買いに行っていると。ふーん,じゃぁ行ってみよう,ということで下に降りていったら父に会った。アイス食べようといったら,アイスを買ってくれた。小学生か我は・・・笑。
 トマト二粒とオクラ一本で,帰り道食べすぎで苦しくなるくらいでありました。わらしべ長者って言うんだよねきっと。ちなみに昔生物でウニの解剖をやったので、思い出しながら解体した。むにむに動いていました。手が黒くなったしまだ磯臭い…。

About July 2007

July 2007にブログ「つれづれ」に投稿されたすべてのエントリーです。過去のものから新しいものへ順番に並んでいます。

前のアーカイブはJune 2007です。

次のアーカイブはAugust 2007です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。