近所に栗農園がある。いろんな農園を見てきたが,栗農園ってのは始めてだ。ビジュアル的に美しい。栗のイガがまだ緑。よくその農園の脇をぐるぐる歩いてるんだけど,ぼーっと栗を眺めているので電信柱にぶつかりそうになったり,車にひかれそうになったりする。
今日は見ないぞ,と思っているのに,その飄々と立っている栗の木々と栗のイガにどうしても目が行ってしまう。たぶん口を開けているだろう。
こんなでかい幹線道路の傍にちょっとはいるとこんなある意味人工的な自然がいきなり現れて,しかもコンクリートの塀で囲まれていて「盗るなよ」と言わんばかりに鉄条網とか張り巡らされていて,誰かが盗みに入った後かのような塀の穴にはネットが張られていて,道路挟んだ向かい側に手書きで「栗売ります」と書いてあり,ああ,もう,すごく妄想が広がるわけです。
日々栗農家の人々と栗泥棒の攻防戦が繰り広げられているのかと思うと,夜も眠れません。実は鉄条網とか張り巡らされている割にハイテク農園だったりして,赤外線などでガードされていたりするのかもしれません。そうなるともういたちごっこですよきっと。
でも,たぶん,そんな状態ではないと思います。が,ひそかに,あの栗農園の中にすまわってみたいと思ったりします。栗の木だからね,見つからないように木の上に住まうことは出来ないわけで。
とかなんとか,わくわく考えていたけれど,横須賀の栗の木は,どんな運命をたどったのであろうかと,思わずしんみりしてしまった。